加齢により色の見え方が変わる理由

高齢になると、身体的な機能に様々な変化が現れ始める。それは視覚についても同様であり、目に関わる機能の衰えによって、高齢者は色の見え方が若いころと大きく変わってしまう。

しかし、その変化はおおよその場合徐々に起こるものである。そのため、たいていの高齢者は色の見え方が変わっていることに気づかないことが多い。

これらのことを考慮したデザインを街中や施設に取り入れることによって、高齢者はより安全な生活を送ることができるようになるとされている。高齢者の色の見え方が変わることには、目の構造のひとつである水晶体が大きく関わっているのだ。

水晶体は、カメラでいうところのレンズの役割を持っている。そして水晶体は、年齢を重ねることによって老化するだけではなく、紫外線の影響も大きく受けるようになる。

老化や紫外線の影響を受けると、はじめは透明であった水晶体は徐々に白濁していき、40代ごろには黄色から褐色へと変化する。80代ごろになると茶色にまで変化し、サングラスを通して見ているような状態の見え方になってしまう。

黄色や茶色に濁っている水晶体を通してものを見ることになるので、まず見るもののすべてが黄色がかって見えるようになるという変化が現れる。また、濁った水晶体は短周波の光の透過率を減少させる効果もあり、これも色の見え方に大きく変化を与える。

短周波の色とは、青やグレーなどといった寒色系の色である。そのため、高齢者は寒色の色の変化が見えにくくなる。こういった高齢者の身体の変化は、介護の仕事をする上で必要な知識だといえる。