耳の聞こえが悪いと、日常生活に支障が起きたりストレスがたまるなど様々なことに影響が及ぶようになる。これは年代に関係なく起こり得ることだが、特に年齢を増すごとに聞こえ方は衰えて聞こえる音域も限られるようになる。
加齢による難聴のことを、老人性難聴や加齢性難聴と呼ぶ。こういった症状は、だいたい70代になると半数以上の人に現れるといわれている。高齢者と呼ばれる年齢になると、体力の低下だけではなく聞こえ方の変化により、日常生活の様々なことが阻まれていくことがわかっている。
その中でも特に高齢者の難聴は、周囲との円滑なコミュニケーションが取りにくい状態になる。また、難聴が認知症を発症する原因の一つであることも判明しているのだ。
高齢者の聞こえ方は、年齢を重ねることにより徐々に変化していくことは理解しやすいといえる。ただ、難聴が初期の段階であれば、本人や周囲の人たちはどのようなことで難聴に気づくのだろうか。
多くの場合、本人は初期の段階では気づきにくく周囲の人たちがテレビやラジオなどの音量が不自然だったり、コミュニケーションを取りづらいなどと感じることで初めて気がつくケースが多い。
難聴が進行していくと会話をしている相手の声が聞こえづらくなったり、何度も相手に聞き直すようになる。これらのことを繰り返すうちに、本人も徐々に変化を自覚していく。
また、音には高音域と低音域といった音域があるが、高齢者は高音域から音の聞こえ方が悪くなる。例えば鳥が鳴いている声や風により木々の葉がかすれる音などは、高音域に該当する。